銀聯カード(Union Pay)

出典:銀聯国際

今や世界最大のペイメントシステムブランドとなった銀聯カード(UnionPay)。
人口13億を超える巨大な市場を背景に、VISA、MasterCardに並ぶまで成長しました。

ただし、クレジットカードに限定すると、狭義の国際ブランドと言えるのは、VISA、MasterCard、American Expressの3ブランド。
JCB、銀聯カード(UnionPay)はアジア、Discoverは北米を中心とした地域型国際ブランドというのが適切かと思います。

では、銀聯カード(UnionPay)とはどういうものなのか詳しくみてみたいと思います。

銀聯カード(UnionPay)とは

銀聯カード(UnionPay)の成り立ちとその背景

1993年:当時の国家主席である江沢民が「三金プロジェクト」を提唱しました。
その一つである「金カードプロジェクト」は、金融のネットワーク化、IT化を目指すというものです。

既に、中国では、中国銀行等によりバンクカードが発行されていましたが、銀行間のネットワーク化は進んでいない状態でした。
この「金カードプロジェクト」に基づいて
2002年3月:中国人民銀行が中心となり、中国の銀行・カード産業の発展を目指し、中華人民共和国国務院の同意・中国国内の80以上もの金融機関の同意を得て中国銀聯(China Union Pay)が設立されました。

この中国銀聯(China Union Pay)が発行するカードブランドが、銀聯カード(Union Pay)になります。

※中国人民銀行とは・・・
1948年に設立された中国の中央銀行。
1983年まで、金融政策、通貨政策及び中央銀行機能と市中銀行機能を併せて持つ中国唯一の銀行でした。

中国銀聯(China Union Pay)の当初の役割は、四大国有銀行(中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行)内、銀行間、地域間でのネットワークの構築になります。

中国銀聯(China Union Pay)が設立されるまで、中国の金融機関での決済は地域や金融機関によってシステム・ルールがそれぞれ異なり様々な弊害を生み出していました。これをオンラインで結び統一化するために、中国銀聯(China Union Pay)はつくられたのです。

今現在も中国の銀行決済のATMネットワーク、オンラインデビットネットワーク、クレジットカードの加盟店ネットワークは中国銀聯(China Union Pay)が担っています。

この中国銀聯(China Union Pay)には、中国四大銀行をはじめ400以上の金融機関が加盟。
「銀聯」は、銀行の「銀」、連合の連という意味の「聯」が合わさって命名されました。
まさに、中国銀聯(China Union Pay)は江沢民の時代から始まった国の政策によってつくられた銀行の連合組織なのです。

2004年1月:香港、マカオへネットワークを拡充
2005年1月:銀聯カード(Union Pay)の国際ATMネットワークと国際オンラインデビットネットワークの拡大

国際化を目指す動きは非常に早く
2007年12月:日本でも三井住友カードから「三井住友中国銀聯カード」が発行されます。
システムも発展し
2012年2月:非接触ICカード「Quick Pass」開始
カードのみならず、スマートフォンにも搭載。

2015年第一四半期には、銀聯カード(Union Pay)がVISAを抜き、世界のカードブランドの決済額トップに躍り出ました。
現在では、150の国と地域で利用できます。

中国銀聯(China Union Pay)の発行するカードは、日本で一般的に馴染みのあるクレジットカードとは異なり、デビットカードの機能を兼ね備えたものが多いのが特徴です。つまりは後払い制ではなく、先払い制によって品物を買うことができるという仕組みです。

中国国内では、銀行の口座を作るとキャッシュカードが発行されますが、このキャッシュカードに銀聯ブランドがついているため、自動的に銀聯カードを持つことことになります。

クレジットカードとしてのネットワークは依然発展途上であり、中国国内においてもVISA、MasterCard、Discover、Dinersclub、American Express、JCBといった先行する国際ブランドのクレジットカードと提携している状態です。

銀聯カード(Union Pay)の市場データ

銀聯カード(Union Pay)の最新のデータを見てみます。※2017年度データ
・本社 上海市
・決済額 93兆9千億元(日本円にして、約1,630兆円) 前年比28.8%増
・発行枚数 中国国内:約63億枚
・カード発行メンバー 中国銀行、中国工商銀行、交通銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、招商銀行、中国広大銀行、中国民生銀行、中信泰富、上海浦東発展銀行、広発銀行、華夏銀行、興業銀行、中国郵政儲蓄銀行、平安銀行、HSBC銀行、恒生銀行、東亜銀行、シティバンク、スタンダードチャータード銀行

・世界2000社を超える機関との提携により、58の国と地域で発行、177の国と地域で利用可能。
・発行枚数:70億枚(中国国外1億枚)
・加盟店数 5100万店
・利用可能なATM 257万台
海外においては、
・加盟店 2300万店
・利用可能なATM 164万台

巨大な経済力を背景に、中国国内はもちろん、海外においても利用者は拡大しています。

2019年の春節での銀聯カード取引額は、過去最高の1兆1600億元(日本円にして18兆9691億円)にものぼりました。1兆円台の大台を初めて突破し、前年比は71,4%増加という驚異的数値となっています。

年々増え続けている日本への中国観光客は現在700万人を超えているとみられており、これに伴い、日本でも銀聯カードが使用できる店は増え続けています。

日本でも銀聯カード加盟店は、2012年に約13万店、14年には約37万5000店、16年には60万店を超えました。

日本で中国銀聯(China Union Pay)が事業を開始したのは、2006年。
現在では三井住友カード・三菱UFJニコス・ジェーシービー・ユーシーカード等と提携しており、日本での銀聯カードのカード機能はクレジット・デビット・プリペイドタイプの3つとなっています。

では、日本での状況をみてみましょう。

日本での銀聯カード(Union Pay)発行状況

三井住友カード

・特徴:中国への出張や旅行に便利。クレジット払い可能。
・中国の大都市から地方都市まで、約2000万店以上にものぼる圧倒的な数を誇る銀聯カード加盟店で利用が可能。
・カードデザインは2種類から選択可能。
・申し込み資格:満18歳以上の方。高校生は除く。※その他条件あり
・利用枠:総利用枠 10~80万円
・ショッピング利用枠 10~80万円
・リボ払い・分割払いは利用不可
・キャッシング利用不可
・年会費:無料
・発行手数料:無料
・ポイントサービス:ワールドプレゼント 1000円利用=1ポイント

他にも三井住友カードでは、ANA銀聯カードも発行しています。

三菱UFJニコス

・中国国内の加盟店 都市部はもちろん地方都市においても幅広くカバー。
・中国渡航を海外アシスタンスサービス窓口「ハローサービス」がサポート。中国国内の現地情報の提供、ホテル・レストランの予約等、現地スタッフが日本語で応えてくれる。
・海外銀聯カード加盟店でのショッピングご利用については基本ポイントが通常の2倍になる。※対象でないカードもあり。
・申し込み対象:同社の発行するMUFGカードを持っている方。※同社のフランチャイジー各社の発行するカードを持っている方は対象外となります。
・利用可能枠:銀聯カードを申し込んだ際に指定したクレジットカード利用枠の範囲内での利用が可能。
・新規発行手数料:本会員は1000円、家族会員は300円必要。
・有効期限:原則5年間。※ただし、有効期限更新には上記発行手数料が必要となります。
・年会費無料
・カードデザインは持っているMUFGカードの種類によって異なります。

銀聯カード(Union Pay)モバイル決済の状況

中国での決済手段において外せないのは、「QRコード決済」です。
中国銀聯(China Union Pay)においても、
2017年5月:アリババの支付宝(AliPay)に追従するかたちで「UnionPay」というアプリを用いてQRコード決済へ参入しております。
この「UnionPay」というアプリを用いることにより、スマートフォンでの決済を可能としています。

「UnionPay」は、バス、地下鉄等の交通機関はもちろん医療、キャンパス、スーパー、コンビニでの利用や公共機関での支払いにも対応しています。「UnionPay」は、2017年末にリリースが開始されたものですが、今現在、その利用者数は1億人を突破。QRコード決済先進国の中国において後発ながら利用者を増やしています。

この急速な広がりの理由は、機能面と利用シーンの双方に着目しているためです。「UnionPay」は買い物での利用での決済を円滑にするだけではなく、カード管理・資産管理等の基本的な財務機能を完備しています。特にデビットカード機能を使用する際に心配となる口座の残高も、「UnionPay」を確認すればいつでもどこでも自分の残高が確認できるのです。

「UnionPay」をインストールするだけで、利用客は自分の財産の過去と現状、未来をしっかり目で見て管理できるのです。

これはキャッシュレス社会のデメリットとなっている、現金を持たないためにお金を使いすぎてしまう・・という点を払拭してくれる画期的サービスとも言えます。

さらには「UnionPay」は中国銀聯(China Union Pay)と各主要銀行の決済やサービスを提供するために一つのアプリで全ての銀行カードを管理できる機能を備えているので、銀行によって異なるカードを手配する手間が省けます。中国の交通機関では、現在上海・広州・天津・南京・重慶等を含む18都市で導入されており、医療分野においても、29の省と140以上の年の1500を超える病院でオンライン受付・ウェイティングリストへの登録・外来での支払い・検査結果の照会・入院時のデポジットの支払い・入院費用明細の照会等を利用することができます。まさに中国に暮らす人々にとって、欠かせないアプリです。

ますます拡大する銀聯カード(Union Pay)

巨大国家が生み出した中国銀聯の銀聯カード(Union Pay)。歴史的にはまだ浅い組織ではありますが、その驚異的な伸び率から今やVISAを追い抜き、決済額においてトップの座に君臨しています。その勢いは止まる気配がありません。

そんな銀聯カード(Union Pay)の今後の動向を追ってみましょう。

2018年10月のデータを見ると、銀聯カード(Union Pay)の発行枚数は70億枚。このうち、中国以外で発行された銀聯カードは1億枚を突破しています。現在、全世界5100万の加盟店での利用ができ、257万台の銀聯カード対応ATMがあることから、広く世界に浸透していっていることがわかります。

日本国内にいても、近年インバウンド効果によって中国人が多く観光に訪れており、2018年には838万人とここ最近で急増しています。中国から日本へ移動する際には、持ち運べる現金には一定の規制がかかります。このため、彼らのニーズを掴むためにも日本国内では今後さらに銀聯カード加盟店が増えていくものと予想されています。近年、香港・マカオ・韓国から日本へ訪れる観光客が増加していることから、さらに銀聯カードは日本国内で浸透を高めていくことでしょう。また、ネットショッピングの大手アマゾンのアメリカ・日本においても近年銀聯カードの利用ができるようになったこともさらなる飛躍に拍車をかけるものと思われます。

2017年に市場に投入され、わずか2年の短期間で加盟店数が1000万店にまで増加したQRコード決済「UnionPay」は、中国銀聯が開発したものです。銀行が運営するアプリということで信頼度も高く、今後さらに中国全土へ浸透していくものと予想されます。こちらも中国以外の海外への浸透を、今後さらに強化させていくと思われます。日本でもPayPayの大規模キャンペーンが記憶に新しいところではありますが、「UnionPay」でも同様に高額キャッシュバックキャンペーンが行われ大好評のうちに幕を閉じたようです。

「グローバル決済事業に新たな視点と革新をもたらすこと」「世界レベルでのサービスを提供すること」をブランド理念に掲げている銀聯(Union Pay)から、今後も益々目が離せませんね。

参考文献

銀聯国際:https:/www.unionpayintl.com/
三井住友カード:https://www.smbc-card.com/
三菱UFJニコス:https://www.bk.mufg.jp/
[第3版]世界のペイメントカード:監修岩本敏男(発行:カード・ウェーブ)

With the cooperation of youtube06934501
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