
(出典:ポケットカード株式会社)
日本国内だけでも非常に多くの種類がある、クレジットカード。
クレジットカード事業を展開している企業の中でも、特に知名度が高く・広く利用されているのが「ポケットカード」です。
ポケットカードとはどのようなクレジットカードなのか、さらにポケットカードを展開している会社「ポケットカード株式会社」についても、併せて見てみましょう。
ポケットカードがこれまでどのような歩みを続けてきたのか、どうして人気があるのか。
さらに、ポケットカード社の気になる事業や今後についても考察してみましょう。
ポケットカードの特徴・概説
かわいらしい名前のポケットカード。
クレジットカード事業を行う「ポケットカード株式会社」によって発行されているクレジットカードです。
ポケットカード株式会社が発行するクレジットカードとして代表的なものはP-oneカードやファミマTカードが挙げられます。
特にファミマTカードはコンビニ・ファミリーマートでよく利用しているという方も多く、さらにファミリーマート以外のTポイント加盟店でもお得に利用できるとあって人気の一枚。
「ポケット」という親しみやすいネーミングについてですが、「常にお客様に形態され、気軽で親しみがあるポケットという名称を採用した」という経緯があります。(※1)
さらに、他社クレジットカードでは見ない試みが多数あり、個性的かつお得感を得られるクレジットカードとして重宝されています。
ポケットカードがお得な理由
ポケットカードの主となるカード・P-oneカードは、利用すると自動的に1%が割り引かれるという仕様。
通常のお買い物に加え、なんと公共料金の支払いにP-oneカードを利用しても1%が自動的に割引となります。
これらの割引には上限も設けられておらず、使い方によってはかなりお得になることから、多くのユーザーに利用されているクレジットカードです。
そしてさらに驚くべきは、1%の割引のほかに、他のクレジットカードと同様ポイント付与が行われること。
自動割引とポイント還元の両方を受けることができるため、数あるクレジットカードの中でもそのお得さは随一です。
人気の理由はユーザービリティの高さ
ポケットカードはポイントバックや割引といった、ユーザーにとって直接的な恩恵が受けられるほかにも、使いやすさに定評があります。
ポケットカードで貯められる「ポケット・ポイント」ですが、カード代金の引き落とし口座へキャッシュバックできるほか、ジャパンネット銀行・楽天銀行の口座に振り込んでもらうことも可能です。
つまり、ポイントの現金化が可能ということ。
普段は1%割引をしながらコツコツポイントを貯め、最終的にネットバンクへのキャッシュバック…というふうに、特典を使い分けることもできます。
特定の店舗で利用しなくてはならないといった条件もなく、自由度の高さ・使い勝手の良さで定評があるのがポケットカードです。
これまでの沿革
ポケットカードの歴史は、今から30年以上前の1982年までさかのぼります。
1982年5月25日・ニチイクレジットサービス
ポケットカードの最初となる会社がこちら。
ニチイの傘下となる信販会社「ニチイ・クレジット・サービス」として設立されました。
この信販会社は、全国のニチイやサティのサービスカウンターにて融資を行ったり、クレジットカード事業や個人向けのローンを提供していました。
1994年3月・マイカルカード株式会社
マイカルグループの子会社として、ニチイ・クレジット・サービスから「マイカルカード株式会社」に社名変更を行いました。
このときすでにマスターカードインターナショナルと提携を行っており、MasterCardのブランドカードの発行もスタートしています。
2001年12月・ポケットカード株式会社誕生
ポケットカードの前身となるマイカルですが、店舗経営において大幅な赤字となり、破たんへの道をたどることに…。
ただ、マイカルが経営破たんをする前の2001年4月25日、三洋信販へマイカルカードの株式譲渡が行われました。
三洋信販が取得した株式は51%で、実質的支配が行われることに。
その後、同年12月に現在の「ポケットカード株式会社」へ社名変更を行い、今に至ります。
2003年5月・伊藤忠商事との資本提携
伊藤忠商事との資本提携により、傘下にあったファミマクレジット事業の一部を受け継ぎました。
これによりファミマクレジット株式会社と資本・業務提携を行い、マイカルカード時代のクレジットカード「マイカルカード」の新規発行を終了するとともに、P-oneカードの発行をスタートさせました。
現在の主流クレジットカードとなる、P-oneカードの誕生です。
マスターカードとの提携を行っていたポケットカードですが、ここで三井住友カード株式会社との提携・株式会社ジェーシービーとの提携により、VISA・JCB各ブランドのカードを発行する運びとなりました。
2007年・プロミスの連結子会社へ
ポケットカードの実質的な支配を行っていた三洋信販ですが、三井住友銀行の傘下となっていたプロミスとともに再編が行われました。
その結果、ポケットカードはプロミスの連結子会社に。
このころは流通系や銀行系のクレジットカード会社ではなく、三洋信販・プロミスの傘下ということもあり「消費者金融」のジャンルに分けられるとされています。
2011年3月・ファミマクレジット株式会社を吸収合併
株式交換が行われ、ファミマクレジット株式会社を完全子会社化しました。
株式交換とは、ふたつの会社を一度に親子会社の関係にする再編方法のことを指します。
2012年9月・ファミマクレジットを吸収合併
2011年3月にファミマクレジット株式会社を完全子会社化しましたが、その後吸収合併。
さらにその後は株式公開買い付けが行われたことで、株主構成が変化。
・伊藤忠商事…46%
・ファミリーマート…34%
・三井住友銀行…20%
2017年8月3日時点
現在、上記3社のみが株主という構成になっています。
ニチイから始まり、イオン関連のマイカル、さらに三洋信販・プロミス、ファミリーマート関連会社となったポケットカード。
非常に複雑で、多くの遍歴をもつクレジットカード会社ということがわかります。
市場規模・会員数、気になるデータについて
ポケットカードをデータ(数)という側面から見てみましょう。
まず、クレジットカード会社の比較として注視したい取扱高について。
2019年2期は5,200億円を超えており、2015年2期は約4,300億円であることから大きな規模で成長を続けていることがわかります。(※2)
ただ、ライバル会社のオリコカードは取扱高が2兆円を越えていることからも、まだ伸びしろがあるとも言えるでしょう。
営業利益や総資産・純資産も少しずつ増えていること、さらに経常利益・純利益についても大きく伸びを見せていることからも、今後さらに期待できるクレジットカード会社として注目されています。
ポケットカード、現状と今後の予測とは
ポケットカードには前述のとおり、非常に多くの、そしてさまざまなサービスが展開されています。
特にポケットカードの中でも「P-oneカード」利用者に対した優遇が多く見られることからも、P-oneカードに力を入れていることがわかります。
P-oneカードはプロパーカードとして現在もなお発行されているクレジットカードですが、その他にも提携カードが多く存在しています。
さまざまなクレジットカード
●P-oneカード
対応ブランド…VISA、MasterCard、JCB
P-oneカードの名前の由来は「特別(Prime)」、お客様に選ばれる特別な1枚という意味を持っています。
請求時1%割引特典のほか、ポケット・ポイントがともに貯められるため、とてもお得。
通常のP-oneカードはボーナスポイントのみ付与となりますが、P-oneカードゴールド・プレミアムなどの一部は通常ショッピング時にもポイントが貯まります。
●ファミマTカード
対応ブランド…JCB
ポケットカードの提携カードとして知られているのが、ファミマTカード。
ファミリーマートにてクレジット払いをすると、Tポイントがいつでも2%貯まる高還元仕様。
年会費は無料で使い始めやすく、ユーザーが非常に多いのが特徴です。
●ZOZOCARD
対応ブランド…MasterCard
ZOZOTOWNでの利用で5%が、その他いつものお買い物でも1%のZOZOポイントを貯められるという特徴があります。
ファッションに関連したクレジットカードということもあり、極限にシンプル、かつスタイリッシュなデザインが印象的。
こちらも年会費は無料で、よくZOZOTOWNを利用して買い物をするという方にはぴったりのクレジットカードです。
サポート体制も充実
提携カードの種類が豊富なことに加え、ポケットカードはクレジットカード保有者に対するサービスも充実。
たとえば、P-oneカード(スタンダード)は年会費が無料にもかかわらず、さまざまな補償やサービスが付帯しています。
・請求時1%割引特典
・ポケットポイントの付与
・紛失、盗難保障(付帯保険)
・レンタカー5%割引
・海外サポートサービス
・ポケットカードトラベルセンター
・海外おみやげ宅配サービス
このほかにも、MasterCard・JCB・VISAの各ブランドによって、ブランド別付帯サービスの利用も可能です。
ポケットモールの存在
ポケット・ポイントやTポイントが貯まるクレジットカード、つまりポケットカードが発行するクレジットカードを保有しているユーザー向けのサービスです。
楽天市場・Amazon・ふるさと納税・ヤフーショッピングなど、いつも利用しているオンラインショップを、ポケットモール経由でお買い物するとお得になる仕組み。
ポケットモールを経由するだけで、あとは通常通りショップへリンクしてお買い物をするだけでOK。
このとき、ポケット・ポイントやTポイントが貯まるクレジットカードで支払いをすることで、ボーナスポイントや特別ポイントが貯まります。
よりお得にお買い物ができるという特徴があります。
ポケットカードの今後について
ポケットカード株式会社は、今後も「暮らしに密着した付加価値の高いサービスを想像する」を企業ビジョンに掲げながら、ユニークかつ付加価値の高いサービスを提供するとしています。(※3)
この考えのもと、今後重点的に取り組む事業のひとつとして挙げられるのが「クレジットカード事業の進化」です。
従来のクレジットカードとは違い、ポケットカードは「1%が自動的に割引される」「ポケット・ポイントの付与」など、珍しいサービスが。
こういった目新しいサービスはもちろん、ポケットカードという一企業として新たな収益源の創出を目指すべく、クレジットカード事業をさらに進めるという意欲を見せています。
キャッシュレス事業への期待
2019年10月に消費増税が行われましたが、これと同時にスタートした「キャッシュレス・消費者還元制度」にもポケットカードは参加。
P-oneカード、ファミマTカードやTカードプラスといった、ポケットカードが発行するクレジットカードはすべて対象です。
ただ、このキャッシュレス・消費者還元制度は2020年6月30日までの実施と決まっています。
そのため、この取り組みが終了したあとにポケットカードをはじめとした各クレジットカード会社がどのような企画・キャンペーンを打ち出してくるかが必見。
特にキャッシュレスにおいて、クレジットカードは欠かせない存在。
QRコード・バーコード決済をはじめとしたスマートフォン決済は、次々に活躍の場を広げています。
しかし、まだまだ現金派が大半であることや、キャッシュレス=クレジットカードというイメージを持っている人も少なくありません。
ポケットカードはクレジットカード事業と併せ、今後キャッシュレスの分野においてもユニークな取り組みをしてくれるのではないでしょうか。
参考文献
(※1)マイカルカード 第20期中間事業報告書
【https://www.pocketcard.co.jp/ir/pdf/ir/pdf/011127.pdf】
(※2)ポケットカード
【https://www.pocketcard.co.jp/ir/finance/finance_01.html】
(※3)ポケットカード
【https://www.pocketcard.co.jp/ir/profile/profile_01.html】
With the cooperation of yana0918
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