
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の子会社・株式会社ビューカードが発行するビューカードの発行は1992年に遡ります。ビューカードはクレジットカード機能を兼ね備えたカードとなっていますが、鉄道会社が発行しているカードということで日頃より鉄道を利用する方に便利な機能を兼ね備えたカードとなっており、一番のメリットはSuicaのオートチャージができるという点でしょう。
そんなビューカードを運営する株式会社ビューカードの特徴・概説やこれまでについてまとめました。
① 特徴・概説
株式会社ビューカードはJR東日本の子会社で、2009年に設立しました。元々の始まりは1992年にJR東日本においてカード事業が発足したことに始まります。
<JR東日本について>
JR東日本は1987年4月1日に日本国有鉄道が分割民営化されたことに伴い発足した株主会社です。
日本国内では東北地方、関東地方、甲信越地方を中心とした地域に鉄道路線を持っています。また、海外においてもイギリスのウェストミッドランズ鉄道を運行するなど国内外問わず広く事業を展開していることも持ち味となっています。また、鉄道のほか、住宅事業も展開しています。
※国鉄分割民営化・・中曽根内閣が実施した行政改革の一つ。地方の国鉄離れの加速・国鉄職員の労働コスト上昇・巨額債務といった様々な国鉄に関連する問題に終止符を打つための施策とされている。また、全国をひとまとめとする大きな組織・国鉄を地域ごとに分割して、小さな組織とすることで地域密着を図る目的もありました。分割後は、6つの地域別の「旅客鉄道会社」と1つの「貨物鉄道会社」等に分割されました。
これにより、各地域の特性に合わせたダイヤの設定や新型車両の投入が行われ、国鉄時代には政治介入も多く、地域の特性に不適合な箇所も多く目だっていた鉄道分野にそれぞれの地域の特色に応じた改変が見られ、鉄道業界が再び活気づく要因となりました。
1993年、JR東日本がビューカードを発行開始した当初は、ハウスカードとして利用可能範囲はJR東日本の乗車券類購入や関連する日本テレコム・東京デジタルホンの料金決済、一部の東急ホテルズ店舗に限られていました。さらに募集対象もJR東日本の営業地域内在住・在勤者に限定されており、今のような形での幅広い募集やカードの利用形態はとられていませんでした。
またサービス開始当初はJR東日本が貸金業者となり、ビューカードでのキャッシングサービスを行い、主要駅構内にATMを設置、始発から終電までキャッシングの利用を可能としていました。その後、1997年には他の金融機関との提携も開始。さらに利便性が重視されました。
このシステムは2001年にはVIEW ALTTEとして、駅のATMで提携金融機関の預貯金の引き出しなどのサービスを年中無休で利用できるサービスへと移行され、インターネットサービスとも連携されました。時間外手数料無料。
発行当初は貸金業者を取り締まる法律が整備されていなかった時代でしたが、その後、融資に対する高金利やグレーゾーン金利問題が生じ、多重債務問題により自殺者が増加するなど問題が多発。こうした課題への対策として、2010年にはグレーゾーン金利が撤廃されました。
ビューカードにおいても、2009年4月1日以降に新規の申込を行ったビューカードについては、キャッシングを利用する事はできません。
<ビューカードの特徴>
ビューカードの特徴は、鉄道会社がバックグラウンドにあるという点を活かし、鉄道を利用する際に利用できるSuicaが便利になるという点です。
中でも人気のビュー・スイカカードは、申込時に「オートチャージ機能を利用する」を選択するとSuicaの残高不足を予測し、自動でチャージしてくれます。さらには、オートチャージを利用する際にはポイントも貯まります。また定期券購入やSuicaチャージ、きっぷの購入で3倍のポイントが付与されるというメリットも人気の要因です。
貯まったポイントはSuicaにチャージすることも可能で、電車やコンビニ、自動販売機においても使うことができます。こうした得策により、設立から4年の1996年には、会員数100万人を達成しました。
他にもルミネの店舗やネットで使用できるルミネカードもビューカードの主力カードとなっています。このルミネカードの他にも、駅ビルやホテルと提携したカードが多く発行され、施設を利用する方々が提携カードに入会したことから大幅に会員数が増加、ビューカードは一気に知名度を上げました。
またビューカードは国際ブランドであるJCB、MasterCard・VISAの各ブランドからの選択が可能な点も魅力の一つです。
他に、会員限定のお得なきっぷやツアーが利用できる「大人の休日俱楽部」カードも人気です。こちらは満50歳以上を対象としており、吉永小百合さんのCMでもおなじみのカードとなっています。こちらも鉄道会社ならではの利点を活かしたカードとなっています。他にビューカード会員には、国内旅行傷害保険(利用規約あり)、海外旅行傷害保険も付帯しています。
国鉄から分離し、民営となったJR東日本。数ある鉄道会社から抜きんでるための施策として1992年に開始されたビューカードを取り扱う業務は鉄道会社という資質を自ずと生かした画期的なメリットが多く兼ね備えられたカードとなっており、現在も利用者数を伸ばし続けています。
ちなみにJR東日本の他に日本の鉄道会社で国際ブランドのクレジットカードを発行した経験を持つ会社には、JR西日本と小田急電鉄があります。
※株式会社ビューカードはクレジットカードの審査業務をキュービタスに業務委託しています。
② 沿革
1987年 国鉄から脱却、東日本旅客鉄道株式会社・JR東日本発足
1992年 JR東日本がカード事業部を発足
1993年 ビューカードの発行を開始
1994年 ビュー・ジパングカード発行開始
1996年 ビューカード受付会員数100万人を達成
1997年 ルミネカード発行開始
1999年 提携キャッシング開始 (第一勧業銀行、富士銀行、東京三菱銀行、郵便局※当時)
2000年 国際ブランドVisaとの提携を開始
※Visa・・アメリカに本社を置く国際ブランド。1958年に、バンク・オブ・アメリカとして設立したことが始まりで、ブランド名は「金融界のビザとして、各国地域の市場サービスで提供する世界通貨を、国際決済サービスで提供する世界通貨」を意味する。世界中に加盟店を有するカード会社のトップブランドとして名高い。
インターネットにおいてビューカード受付申し込み開始
2001年 VIEW ALTTEの設置を開始
※VIEW ALTTEは、駅のATMで提携金融機関の預貯金の引き出しなどのサービスを年中無休で利用できるサービス。専門サイトからは近隣のVIEW ALTTEを地図から検索可能。
2003年 カード事業部として、ISO9001:2000認証取得
会員限定インターネットサービスVIE‘sNET開始
※VIE‘sNET・・ビューカードの利用明細やポイントをインターネットからいつでも確認できるネットサービス。クレジットカードの利用をいつでも確認できるため、使いすぎ防止に役立つ。お得なキャンペーンの応募にも。スマートフォンからも利用可能。
「ビュー・スイカカード」発行開始・JCBとの提携開始
※JCB・・日本を代表するクレジットカード会社。国内約6,000万人のシェアを誇り、世界の5大クレジットカードブランドのひとつ。日本企業が発行する唯一のクレジットカード会社でその加盟店の多さが自慢。国内はもちろん海外でも加盟店多数。
2004年 マスターカードとの提携開始
※マスターカード・・クレジットカードの国際ブランド。1966年にアメリカで創業し、ヨーロッパで強い。キャッチフレーズとして「Priceless」を掲げる。
ビュー・スイカ付きルミネカード発行開始
2005年 大人の休日俱楽部カード発行開始
JALカードSuica発行開始
2006年 定期券機能搭載・ビュー・スイカカード発行開始
ビジネスえきねっとカード発行開始
ビックカメラとの提携カード発行開始
オートチャージサービス開始
2007年 カード事業部として、ISO2701:2005認証取得
2009年 オートチャージ設定者100万人達成
JR東日本の子会社 株式会社ビューカード設立
2010年 JR東日本のクレジットカード事業が株式会社ビューカードへ承継され、株式会社ビューカードの本格営業開始
2012年 ビューサンクスボーナス開始
※ビューカードの年間ご利用類型額に応じてボーナスポイントがもらえるサービス。通常
の利用で貯まるポイントに加えて付与されるポイントです。
2015年 ビューゴールドプラスカード・家族カード発行開始
PCI IDSS認証取得
ビューゴールドラウンジ営業開始
2016年 海外発行カード専用キャッシュディスペンサー設置
Apple Payサービス開始
会員数500万人を突破
2018年 JREカード募集開始
2018年 JALカード SuicaCLUB-Aゴールドカード・家族カード発行開始
2019年 「びゅう商品券」の発行開始
『ビューカード「からだ」の保険』誕生
③ データ
・商号 株式会社ビューカード
・会社設立日 2009年9月1日
・本社所在地 東京都品川区大崎一丁目5番1号 大崎センタービル
・代表者 代表取締役社長 田浦芳孝
・資本金 50億円
・株主 東日本旅客鉄道株式会社
・事業内容 クレジットカード業、金融業、クレジットカード等の決済処理代理業、現金自動預払機による金銭貸付の代理業務、現金自動預払機による預払金引出の代理業務、前払式支払手段の発行業及び販売業、情報処理及び情報提供サービス業、両替業
上記に付帯関連する一切の事業
④ 現状と今後の予測
鉄道会社が発行するクレジットカードとして、その資質を活かし、様々なメリットを兼ね備えたビューカード。鉄道会社の中でもクレジットカードを発行する子会社を持つ存在は数少ないため今後も益々カード事業は力を入れられていくものとみられています。
JR東日本は国内はもちろん海外にも視野を伸ばしてるため、今後海外への進路もとられていくものと思われます。またスマートフォンと連動したVIEW ALTTEなど時代への作用もビューカード発展の潤滑油となっています。
今後は環境問題への懸念から鉄道の需要はさらに増加していくものと思われるので、Suicaのオートチャージ機能搭載など鉄道利用者にメリットの大きいビューカードは、益々需要を高めていくことでしょう。このほか、最近では健康保険にも視野を伸ばしていることから、新たなサービス展開も今後充実していくことが予想されます。
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