クレジットカードの利用限度額

近年、日本ではクレジットカードの利用者が増え続けています。消費税増税や人手不足という時代の追い風、さらには政府のキャッシュレス対策強化も伴い、今後さらにクレジットカードの利用者は増え続けていくものと予測されます。

そんなクレジットカードを利用するにあたって、まず契約段階で定めなければならないのが、利用限度額ですね。この利用限度額、低く見積もりすぎても後から大きな買い物をする際に困ってしまいますし、高く見積もりすぎると限度額を意識せずに買い物に興じてしまう方も多く、挙句の果てクレジットカード利用額が払えなくなり自己破産されるケースも・・。

このように、クレジットカードを利用される場合は、注意して限度額を設定する必要があります。そんな限度額の審査基準や設定された背景、実際に利用されている方々の限度額の状況を見ていきましょう。

これからクレジットカードの利用を考えられている方はもちろん、ご自分のクレジットカードの利用について改めて考えてみたいという方にオススメしたい記事になっていますよ。

クレジットカードの利用限度額とは?

クレジットカードの利用限度額は、それぞれのクレジットカードが郵送されてきた際に同封されているカード台紙や、WEBサービスに記載されています。

この利用限度額は、ショッピングでの利用とキャッシングサービスでの利用のそれぞれにおいていくらまで利用できるのかということが示されています。

・ショッピング枠・・ショッピングの用途に使える金額の総額です。

・内 割賦枠・・ボーナス払いやリボ払い、分割払いに使える割賦枠の上限額

・キャッシング枠・・急な現金が必要な際に現金を引き出すことのできるサービスです。

クレジットカード利用限度額はどのように決められるのか?

そもそも、クレジットカードの限度額はどのように決められているのか、ご存知でしょうか?

クレジットカードを申し込むと、一般に社内審査→信用情報機関への照会→手動審査(カード会社によっては行わないところもあります。)→在籍確認→審査結果の通知 という流れがあります。これに無事に通過すると、カードが送られてきます。

※信用情報機関とは・・個人の年収や住宅情報等の属性情報、ローン申し込み内容等の履歴が記録された信用情報を照会する機関です。この機関に信用情報の開示申請をすることで「開示報告書」を閲覧することができます。国内には、CIC、JICC、KSCの3つの機関が存在しています。それぞれの機関によって目的が違ってくることも特徴です。

それぞれの機関の開示目的

・CIC・・クレジットカードの利用履歴・信販会社との過去の取引履歴の開示

・JICC・・消費者金融会社との取引履歴の開示

・KSC・・銀行・信用金庫との取引履歴の開示

債務の処理が滞ると悪い履歴が残ります。これをブラックリスト入りといいます。

また割賦枠とキャッシング枠は、それぞれ「割賦販売法」と「貸金業法」という法律に基づいて算出されており、この審査においては、申込者の個人情報に点数をつけるスコアリングシステムが最重視されています。

スコアリングとは?

スコアリングシステムとは・・返済能力と信用力を調査するため、その人の職業、年収、勤続年数、これまでのクレジットカード利用歴等を見て、個人情報に点数をつけることです。スコアリングの結果によってはカードに入会できない場合もあります。

この合格点は各カード会社によって異なります。主な目安を見てみると、

◎勤続年数

1年未満・・10点

1~3年・・30点

3~10年・・50点

10年以上・・70点

※勤続年数が長いほど、社会適応能力が増すことを予測されるために点数も高くなります。

◎勤務先

大手企業・大企業・・50点

中小企業・・20点

※大手の会社ほど、倒産リスクが低くなることを予測されるため、点数が高くなります。

◎収入

100万未満・・10点

100~200万円・・30点

200万円~300万円・・50点

300万円~400万円・・70点

400万円~600万円・・90点

600万円~800万円・・110点

800万円~1,000万円・・130点

1,000万円以上・・150点

◎職業

公務員・・70点

医師・・70点

弁護士・・70点

税理士・・70点

会社員・・40点

教職員・・40点

学生・・40点

専業主婦・・40点

自営業・・10点

※これも、安定感のある公務員や医師等は高く評価されますが、主婦や学生等、収入に目安のつきにくい方は得点が低くなる傾向にあります。

◎借入・ローン

借入無し・・20点

少額の借入・・10点

返済能力以上の借入・・0点

自動車ローン・住宅ローンあり・・50点

◎年齢

10代・・20点

20代・・25点

30代・・15点

40代・・10点

50代・・5点

60代以上・・3点

※こちらでは若い世代ほど点数が高くなっています。これには、これから社会に出る・あるいは既に出ている若い世代に長期間カードを利用してもらいたいというカード会社の期待が現れています。高齢になると、点数は低くなります。

この他、電話番号を固定電話で引いていると得点が高くなったり、配偶者の有無や家族構成等、様々なデータを考慮して、スコアリングは定められます。この点数はあくまで目安ですので、カード会社によって点数には差が生じます。

算出方法の詳細はこちら

前述したスコアリングシステムを元に算出される限度額ですが、その算出方法をショッピング枠・キャッシング枠のそれぞれの項目ごとに、詳しく見てみましょう。

MUFGカードの場合

◎ショッピング枠は、職業や年収、申込者属性情報や社内外信用情報等に基づき、総合的に分析し、カード会社が算出しています。

◎割賦枠は、申込者の年収から1年間で必要な生活維持費、および年間請求予定額を差し引き、支払い可能額を予測して算出します。そこに経済産業大臣指定の割合である90%を乗せた金額が割賦枠の上限となり、その範囲内で割賦枠の限度額が設定されます。

◎キャッシング枠は、貸金業法で年収の3分の1以上の貸付が禁止されているため、借入総額が年収の3分の1を超えない範囲で設定されます。

なお、キャッシング枠は、他社も合わせて3分の1を超えないように設定されているため、複数のカードに加入すればたくさん借り入れられるというわけではありません。さらに枠の仕組みはカード会社によって異なるので必ずしもこれらの限度額が同じになるわけではありません。

また、限度額は一旦定まったものをそれぞれのカードの可能範囲内で、一時的に上げたり、変更することもできます。これは過去に支払い未納や遅延を引き起こしたことのない方であれば、スムーズに上げることができます。この利用歴を、クレジットヒストリーといいます。

これにも審査が必要となってくるので、中には審査に通らず限度額を上げることができないかったというケースもあります。

一般のカードの限度額の平均は?

ここで気になるのが、それぞれのカードの限度額でしょう。

一般カードの限度額は、大体10~50万円に設定されていることが多いです。国税庁が2017年に実施した「平成28年分民間給与実態調査」の結果によると、給与所得者全体の平均は、421万6,000円で平均的な家族構成から限度額を算出すると、大体50万円前後となるので妥当な限度額可能範囲といえますね。

ゴールドカードの限度額は?

一般カードに比べてゴールドカード・プラチナカード等はさらに多くの特別優待が受けられます。限度額も100~500万円と一般に比べて上がっています。一般カードに比べて、さらに社会適応能力の高い方が入会することができ、なかには招待制のゴールドカードもああります。

年収別の限度額の目安は?

ちなみに限度額の一般の目安を年収別に見てみると、

・100万円台では、10~50万円

・200万円台では、20~100万円

・300万円台では、30~150万円 

・500万円では、50~300万円

・1,000万円代では、100万円~

となっています。

「割賦販売法」・「貸金業法」とは?

次に、限度額を決める際に大きな役割を果たす二つの法、「割賦販売法」・「貸金業法」について見てみましょう・

◎「割賦販売法」

・・昭和36年、割賦販売等において、現金販売を行う小売業者と割賦販売を行う事業者の間の均衡を図る目的で制定されました。

これは2008年には、さらに均衡を保つことのできるよう、新たに改定されています。改定された項目は以下の通り。

・「指定商品・指定役務制」の廃止→個品クレジット契約もクーリングオフ可能に。

・規制の範囲の拡大

・個別クレジット業者の登録制

・個別クレジット業者に、加盟店の勧誘行為等についての調査の義務付け

・既払い金の返還請求・・悪質な業者による勧誘・販売によって損害を被った場合にお金を返還してもらうことができます。

・クレジット業者は指定信用情報機関の情報等を利用して、消費者の支払い可能見込額を算定。→利用者は、これを超えたクレジットは利用できません。

・クレジット業者は、消費者の他社のクレジット債務の額や支払い状況を調査可能に。

・認定割賦販売協会が認定され、業界の自主ルールを作成すること等によって法律を補完。→これにより、適正なクレジット取引が促されることが期待されます。

・クレジットカード情報の保護の強化

クレジットカードは現金をたくさん持ち歩かなくとも大きな買い物ができ、便利な一方で、自分の支払い能力を超えた買い物が可能となるために、一歩間違えば大きなリスクを負いかねない商品でもあります。

さらには、この法律は2010年にも改正されています。「過剰与信の防止」に関する記録保存、悪質商法を防止する与信の実施、行政処分等の規定、クレジットカード情報の保護等がこれに盛り込まれました。

今後もインターネットの普及により情報漏洩が問題とされる現代の不安を考慮し、不正利用被害を減らすことを目的とし、こうした罪を重くする等の規制強化が考えられるでしょう。

◎「貸金業法」

・・消費者金融等の貸金業者や貸金業者からの借入について定められた法律です。

背景・・これは、現金を直接使用していないためにカードを使いすぎてしまう多重債務者の増加が深刻な社会問題となったことを受けて制定されました。多重債務に関する消費者相談は、今も多く、平成20年には95,000件を超えました。この問題に悩まされ自殺に追い込まれる方も多く、「地域自殺対策緊急基金」も増設されました。内閣には、「多重債務者対策本部」も設置されています。この本部によって、債務者は様々なフォローを受けることができます。

平成18年には、さらに改正が行われ、

・総量規制(借入残高が年収の3分の1を超える場合に新規の借入ができなくなる。)

・上限金利の引き下げ(法律上の金利の引き下げ)

・貸金業者に対する規制の強化(法令を遵守した助言・指導を行う国家資格のある者を営業所に置かなければならない。)

といった法案が新たに可決されました。

またこの法律において特筆すべきなのが2013年、週刊誌のスクープで発覚した「みずほ銀行暴力団融資事件」です。オリエントコーポレーションの商品である販売提携ローンを通じて、融資金融機関であるみずほ銀行が暴力団に対し融資を行っていたのです。その後の調査で様々な隠ぺい工作も発覚。金融庁から業務改善命令を受ける事態に発展しました。

これは、反社会的勢力の範疇が銀行全体において統一されていないという問題を露呈することにも繋がり、金融当局はこの事件を受けて、反社会的勢力についての基準を金融機関全体が把握しておく必要があることも露呈されました。

これを受け、2014年に日本貸金業協会とJICCが「特定情報照会サービス」を開始しました。このサービスによって、全国暴力追放運動推進センター等と情報を共有し、反社会的勢力のデータベースを構築、照会・照合が行えるようになりました。消費者金融業者はこのサービスによって、反社会的勢力を排除しやすくなりました。

まとめと今後の動向

このように、クレジットカード利用の限度額には様々な審査や法律が関わっているのです。近年はその便利さばかりが目立っているクレジットカードですが、過去に起こったみずほ銀行とオリエントコーポレーションの不祥事や債務不履行によって自殺や自己破産に追い込まれる人々が存在していることも、頭に留めておかなくてはなりません。

限度額を決定する際には、慎重に考慮しましょう。けれども、限度額が可能範囲枠で高い額の方は支払い能力が高く社会的信用度も高いということにも繋がりますね。

クレジットカードを利用する際には、この社会的信用度が持続できるよう、利用者が自分自身のクレジットヒストリーを大切に紡いでいく必要があります。

今後さらに加速していくことが予測されるキャッシュレス社会において、この限度額のプロセスはとても大事なキーワードとなってくるでしょう。このヒストリーの存在や意味について、現代人はさらに理解を深めていくことが必要ですね。各カード会社でも、こうした情報開示を大人はもちろん今後クレジットカードを持つこととなる若い世代にも深めていく手立てを早急に取る必要があります。

私たち自身も今一度、立ち止まって自分たちのクレジットヒストリーを見つめてみましょう。

With the cooperation of youtube06934501
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